大判例

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札幌地方裁判所室蘭支部 事件番号不詳 判決

主文

被告が原告に対する東京法務局所属公証人石川音次作成の同役場第八万七千三百三号債務弁済契約公正証書正本に基く債権額元金四万円及昭和二十三年十月三日以降右支払済迄年一割の割合による金員以外については強制執行を許さない。

昭和二十五年九月十一日付強制執行停止決定は右金額以外については認可し其他は取消する。

前項に限り仮りに執行する事が出来る。

訴訟費用は二分し其一は被告の負担とし他は原告の負担とする。

事実

原告主張

被告が原告に対する東京法務局所属公証人石川音次作成の同役場第八万七千三百三号債務弁済契約公正証書正本に基く強制執行は之を許さない。

「訴訟費用は被告の負担とする」旨の判決を求め其請求原因として、

一、被告は前記表示の債務名義に基き原告に対し、約束手形金九万九千円及之に対する昭和二十四年四月二十八日より同二十五年八月三日迄日歩三十銭の割合の損害金の債権ありとし昭和二十五年八月二十九日原告に対し札幌地方裁判所執行吏谷口光太郎に委任し強制執行を実施した

二、しかし右債権は民法第九十条に該当する事項を目的とする無効のものである、即ち右債権は昭和二十三年五月中旬原告は被告より金五万円を月三割の利息で一ヶ月の期限で借受けたもので原告は被告に対し利息として金五千円を五回一万五千円を一回昭和二十三年十月二日金四万五千円を支払つたが同日金利の不足分四万九千円を元金に加へ金九万九千円の約束手形を、支払地東京都目黒区支払場所株式会社帝国銀行自由ヶ丘支店振出地東京都支払期日同年十月十日宛名人被告として振出した。被告は同年六月上旬頃原告より交付を受けてあつた白紙委任状を利用し昭和二十四年四月十九日右公正証書を作成したが右は俗に十一と称する月三割の利息で国民経済生活を破壊するものであり原告の窮状に乗じて法をおかすもので公序良俗に反する無効の貸借であるからこれに基く公正証書の執行は許さるべきでない。

と述べ、

被告の抗弁に対し被告主張の様に執行の解除になつたことは認めるが請求に関する異議の訴は債務名義の執行力を争うもので執行の解除になつたことは認めるが請求に関する異議の訴は債務名義の執行力を争うもので執行前であると解除等により影響なく主張出来るものであると述べた。

被告は

原告の請求棄却の判決を求め其抗弁として被告が原告主張の債務名義に基いて為した強制執行は昭和二十五年九月二十二日解除したから本訴は不当であると主張し、

原告の主張事実については

答弁書其他の書面を以て之が認否、抗弁等をしない。

理由

よつてまず

請求に関する異議の訴は原告主張の様に債務名義の執行力を争ふもので現実に執行した執行力を争ふものでないから執行前であると又執行解除により影響を受くべきでないと解するを相当とするからこの点の被告の主張は排斥する。

原告の本案の主張は被告に於いて争はないから自白したものとみなすのであるから原告の主張事実の通り認定してよいが、右貸借は果して原告の主張通り公序良俗に反するものかどうかについて判断して見ると、成程月三割の金利は不当であつて利息制限法に反するから超過部分は無効であるが貸借其のものは無効ではない。又支払つた金利はたとい不当でも返還請求は出来ないから結局元金五万円と昭和二十三年十月二日迄の約定利息は計七万五千円であるが之に対し八万五千円支払つたから元金に一万円入金した事となる。従つて原告の未払は右元金残と昭和二十三年十月三日より右支払済迄年一割の利息損害金を支払ふべき債務があるから此範囲で執行力を有するものと認む。之に反する原告主張は認めない。よつて訴訟費用の負担については民事訴訟法第九十二条停止命令の認可取消ならびに仮執行の宣言については同法第五百四十七条により主文の通り判決した次第である。

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